▪︎ 口コミ
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気になる点
いくつかの課題が存在すると感じた。まず第一に挙げられるのは、業務量の多さとその変動の激しさである。中規模病院とはいえ、地域の中核を担っていることもあり、日によっては非常に多忙な日もある。救急当番や病棟業務が重なる日には、時間外勤務が長引くことも珍しくなく、体力的・精神的に負担を感じる場面もあった。また、指導体制が整っているとはいえ、忙しい時間帯には指導医の手が足りず、研修医がある程度自力で判断を迫られる場面もある。自ら考えて動くことは研修医として重要な学びである一方、まだ経験の浅い段階での判断が求められることに不安を感じたこともある。その意味では、「守られすぎない」環境であるともいえ、自律的な学びを望む者には向いているが、丁寧な手取り足取りの指導を望む者にとっては負担が大きい可能性がある。また、福利厚生や待遇面においては、他の基幹型病院と比較して若干見劣りする部分もあった。特に給与水準は決して高いとはいえず、家賃補助や宿舎制度なども限定的であるため、経済的に余裕があるとは言いがたい。生活コストの高い神戸市内において、生活と研修の両立を図るには、ある程度の計画性と工夫が必要であると感じた。さらに、ローテーションの選択肢に関しては、各科の人数や症例数の都合により希望が通らない場合もあり、自身が強く関心を持っていた科に十分に時間を割けなかったことがあった。もちろん全体としてはバランスの良いプログラムであるが、柔軟性に欠ける場面も存在する。多くの学びがある反面、忙しさや制度面において改善の余地があることも事実である。自分にとっては、それでも得られる経験の価値が上回っていたが、何を重視するかによって評価は分かれると感じた。
良い点
最大の魅力は、幅広い疾患に対応できる診療科構成と、実践的な教育体制であると感じた。中規模病院でありながら、内科、外科、救急科、小児科、産婦人科、精神科など一通りの主要診療科が揃っており、ローテーションを通じて各科の特性をバランスよく学ぶことができる。そのため、将来的に志望科が未定であっても、多様な経験を通じて進路を考える良い機会になる。特に印象的だったのは救急外来の見学である。軽症から中等症、さらには緊急度・重症度の高い症例まで幅広く対応しており、初期対応に積極的に関与することが求められる。その分プレッシャーもあるが、自ら考え行動する力が確実に身につくと実感した。指導医との距離も近く、方針に迷ったときや処置に不安があるときには、すぐに相談できる環境が整っているため、安心して挑戦することができると感じた。教育体制に関しても、プリセプター制度が充実しており、各科研修においては担当の指導医がマンツーマンで指導してくれることが多い。カンファレンスや勉強会も定期的に開催され、症例に関するフィードバックや最新のガイドラインについての解説など、日々の臨床と教育が密接に結びついていると感じた。さらに、職場の雰囲気も良好であった。医師・看護師・技師など、職種を問わずコミュニケーションが取りやすく、研修医としてわからないことを素直に聞ける風土がある。患者への接し方やチーム医療の在り方を、現場を通じて学べたことも、自分にとっては大きな成長であった。総じて、神戸赤十字病院での初期研修は、「量・質ともにちょうどよい」環境であり、主体的に学ぶ姿勢を持つ研修医にとって非常に適した場であると感じた。