▪︎ 口コミ
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気になる点
教育体制が充実していることの裏返しとも言えますが、見学からは常に多忙な空気が漂っており、体力と精神的なタフさが相当に要求される環境であると感じました。研修医の先生方は皆エネルギッシュでしたが、その表情には時折、疲労の色も見て取れました。当直回数が多く、救急の比重が高いカリキュラムは、明確な目的意識がないと、ただ目の前の業務に忙殺されてしまう危険性もはらんでいるかもしれません。また、プログラムの自由度という点では、やや柔軟性に欠ける印象を受けました。救急や必修科のローテーションが長めに設定されているため、将来の志望科がマイナー科であったり、じっくりと考えたい人にとっては、選択期間の短さがネックになる可能性があります。「まずはジェネラリストとして徹底的に鍛える」という明確な方針が、個々のキャリアプランと合致するかは慎重に考える必要がありそうです。加えて、非常に人気の高い病院であるためか、見学者が多く、一人の指導医や研修医の先生に対して複数人がついて回る場面がありました。そのため、個人的に深く質問をしたり、ゆっくりと話を聞いたりする時間は限られてしまいがちです。建物自体は歴史を感じさせる部分もあり、最新鋭の設備が整った環境を最優先に考える方には、少し物足りなく映るかもしれません。受け身の姿勢では、この病院の持つ本当の魅力を掴みきれないまま見学が終わってしまう、そんな印象も受けました。
良い点
見学を通じて最も心を動かされたのは、研修医の先生方が持つ「当事者意識」の高さと、それを支える病院全体の教育的な風土でした。案内してくださった研修医2年目の先生は、単に施設を説明するのではなく、担当患者さんの病態や治療方針について、自身の考察を交えながら熱心に語ってくれました。その姿は「見学者をもてなす」というより、「共に学ぶ一人の医療者」として接してくれているようで、非常に刺激的でした。特に印象的だったのが救命救急センターでのカンファレンスです。研修医が主体となってプレゼンテーションを行い、指導医や上級医から次々と飛ぶ鋭い質問に必死に、しかし的確に答えていました。緊張感の中にも、若い医師を一人前に育て上げようという指導医の熱意がひしひしと伝わってきました。単なる「屋根瓦式」という言葉では表せない、濃密な知識と経験の継承がそこにはありました。また、各診療科の垣根が低いことも肌で感じられました。研修医の先生が、他科の先生にコンサルテーションする様子を間近で見学できましたが、非常にスムーズで風通しの良い関係性が築かれていることが窺えます。見学は「お客様扱い」で終わる病院も少なくありませんが、ここでは臨床の最前線にある心地よい緊張感と、そこで奮闘する研修医のリアルな日常を垣間見ることができ、自分がここで働く未来を具体的に想像することができました。